不貞慰謝料とは別に、調査費用の全額を損害と認める裁判例
一般的に不貞行為は隠密裡に行われることが大半のため、X(浮気されている配偶者)としてはその事実の有無や不貞行為の日時・場所・内容等を特定することは至難の業です。
一方で、民事裁判である以上、XにおいてA(浮気している配偶者)Y(浮気相手)間の不貞行為について主張・立証する責任が課されているのであるから、そのためにいわゆる調査会社(探偵・興信所)を使うことが多くあります。
そこで、不貞慰謝料とは別に、Xにおいて負担したこの調査費用をA及びYに対して請求することができるのかということが問題になります。
調査費用の全額を認める裁判例
■東京地裁平成28年2月16日
Xが平成25年12月にY名義の賃貸借契約書を発見し、AにYとの関係を問いただした際、Aは不貞行為を認めず、Xは平成26年2月、AとYとの不貞関係において調査を行わざるを得なかった。したがって調査費用相当額である37万2000円(中略)はYの不法行為と相当因果関係があるものと認められる。
■東京地裁編成28年11月30日
Xは、Aの行動からその不貞を疑ったが、Aがこれを否定したため、やむなく興信所に調査を依頼したものであり、その結果、Yがその相手方であることを突き止めることができたのであるから、そのためにXが興信所に支払った費用は、Yの不法行為と相当因果関係のある損害というべきである。
(中略)Xは、興信所にその費用として77万7600円を支払ったこと、調査は2日間にわたって行われていることが認められ、同額は不相当に高額であるとまではいえないから、Yは、Xに対し、その全額を賠償すべきである。
これらの裁判例は、調査費用の全額を損害として認めています。
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