不貞行為の主張・立証が認められなかった裁判例①
【不貞行為の裏付けとなる客観的な証拠がないことを指摘する裁判例】
例えば
■東京地裁平成29年12月27日
「本件においてはY(浮気相手)とA(配偶者)の間に性的関係があったことを直接裏付けるメールや写真等の客観的証拠は存在しない。」と判示しています。
■東京地裁平成28年9月13日
「AとYが具体的に性的関係を持ったことを直接裏付けるメールや写真等の証拠は提出されていない。」としてX(浮気された配偶者)の請求を認めませんでした。
■東京地裁平成28年2月4日も同趣旨となっています。
■東京地裁平成28年3月11日
不貞行為の証拠がAの証言であるという事案でしたが、次の通り判示しています。
Aの証言は、Yと不貞関係を持った日時や場所等につき具体性が乏しく、Yにおいて反証 するのは困難である。また、Aの証言自体の合理性等は措くとしても、AとYのメールのやりとりなど証言内容を裏付ける客観的な証拠は一切証拠として提出されていない。Xは、Yが不貞の事実を認めたとも主張するが、Yはこれを否定しており、この点についての証拠もない。
■東京地裁平成29年8月17日
Aの証言(「台湾の方とお付き合いをしていた。」)は、Yが台湾の出身であるからといって、台湾に単身赴任していたこともあるAの不貞相手をYと特定するものとはいえない
と判示した。
■東京地裁平成29年1月18日
AがXとの会話の中でYとの不貞行為を認めたことをもってXが本訴を提起したが、同裁判所は
Aの発言は、内容となる事実を実際に体験した者でなければ知ることができないような事項に触れていないのみならず、そもそも、不貞行為の正確な日時、前後の経緯等を具体的に述べるものでもなく、裏付けとなる証拠もない。
等と判示してXの請求を棄却した。
■終わりに
今回列挙したものは、あくまでも、「一例」に過ぎません。
もちろん、国民は全て「裁判記録を閲覧する権利」がありますので、上記裁判例は皆さんも確認する事が出来ます。 ※裁判所に出向く必要はあります
どんな業種も職業も「実際に中に入らないと知れない事」「体験しなければ分からない事」が存在します。
ドラマや漫画ではない、この現実の中で「自分にだけ都合の良いこと」は、なぜか「被害者側には起き得ない」のです。
それは、刑事事件でいうところの「疑わしきは罰せず」の精神に基づきます。
「疑わしいだけ」ではなく、「この人が〇〇をしたのは、〇〇でご確認頂ける通り、疑う余地がありません」という方向で進めなければなりませんので、決して「素人の経験則」では「確率が高い考察をする事」は不可能でございます。
そこは、専門家の領域であり、つまり「司法の世界を経験しなければ不可能」な事でございます。
つまりは、証拠を持って「理解・納得させる相手」を「相手と自分」という「狭い範囲」に限定してしまうと、いざ相手が「弁護士を雇う権利」を行使した場合、その弁護士の仕事は「法的に・判例上認められない主張」に対して反論し、その要求を断る事になります。
そういった「被害者が陥りがちな視野狭窄」に陥ることなく、先に「専門家とのやり取り」を見据えた「証拠の取得」を行う必要がございます。
その点、弊社は「警察」をはじめとした「司法経験者」並びに「司法資格を有する者」のみで構成されております。
安心して「ご相談」くださいませ。
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